2012-05-28

撮影の実践知識6 -自分で作る!PR映像制作ガイド-

【6-7撮影編7 撮影の基本7 方向性の統一】
今回は「動き」のある映像(ショット)のお話です。

例えば、人が歩いている、クルマが走ってゆく、工場で生産された商品がライン上を流れてゆく・・・というような「動き」を撮影するときには、その「動きの方向性」統一しておきましょう。

●例:男性が歩いて来て、出迎えた女性と握手をするシーン
これを2つのカットで表現したとします。すると・・・















このように、1カット目に男性が画面の左から右へ向かって歩いている「動き」があった
場合は、次のカットでも男性は画面の左から女性に近づいていくのが自然な映像の
つながりになります。
つまり、この2つのカットの間で、男性の動きの方向性が統一されているのです。

映像は静止画と違って常に進行していくものですから、その映像作品の中には時間の
流れが存在しています。
映像を見ている人は、この流れを無意識のうちに体感するのですが、単に作品の長さ
という「時間の進行」だけではなく、そこに映っている人や物の動きも、ひとつの流れ
として認識しているのです。

実世界で例えれば、友人とキャッチボールをしていたとします。
相手の投げたボールは、相手の方からだんだん自分に近づいてきて、ほどよく自分の
目の前に来たときにグローブを差し出してキャッチします。
正面にいる相手が投げたボールが、次の瞬間、自分の真後ろから飛んできて頭にぶつ
かったりはしません。
キャッチボールに限らず、人間は実世界の中で、常にこのような「動きの流れ」を認識
して、それに応じた行動をし続けているのです。

このような人間の自然な感覚を、映像の中でも再現することによって、作品は違和感なく
見ることができるものになります。

ここまで話せばお気付きの方もいるでしょうが、この法則をあえて無視するテクニックも
あります。突然、見る人の予想しない方向からモンスターが飛び出してきたり、敵の銃撃
を受けたりするような、ドラマのショッキングなシーンがそれです。
このような手法も、実世界で常に時間と動きの流れを認識しているという、人間の自然な
感覚をわかっているからこそ逆用できるテクニックなのです。

このような「流れ」を映像作品の中に作る作業は、映像編集で行うものですが、撮影の
時にしっかり計算しておかないと、後で困ってしまう大事なポイントです。

次回は【6-8撮影編8 撮影の基本8】
ライティング(照明)の基本的な知識についてお話しましょう。

2012-05-15

撮影の実践知識5 -自分で作る!PR映像制作ガイド-


【6-6撮影編6 撮影の基本6 イマジナリーライン】

先々の編集作業のことを考えながら撮影をしましょうというお話の3回目。
イマジナリーラインについて説明します。

イマジナリーラインとは、映像の方向性を同一にキープするための目安です。
このラインを無視して撮影してしまうと、後で編集したときに人物や動きがどっちを
向いてんだか混乱してしまって、違和感たっぷりの映像作品になってしまいます。

なので、イマジナリーラインは非常に重要、撮影の基本中の基本といえます。

たとえば、下のような2人の人物の対談シーンを撮影したとしましょう。
















この2人の間を直線で結んだ想定上の線がイマジナリーラインです。


このラインは「2人の人間の対話」に限らず、あらゆる状況で存在します。
・警察と凶悪犯人の銃撃戦なら、その両者の間に、
・夕日をバックに見つめあう男女の間でも。
まあ、こういうのはドラマや映画にしかないと思いますが、企業VPの場合でも、
・モデルさんが商品を手にとって見る場合には、そのモデルと商品との間に、
・機械が動いて作業する場合は、その機械の位置と作業しているポイントとの間に、
イマジナリーラインは存在しているのです。




















撮影をするときには、カメラはこのイマジナリーラインを超えて移動してはいけません。
具体的には、以下の図で説明しましょう。




















最初に「イマジナリーラインとは、映像の方向性を同一にキープするための目安」と
言ったのが、おわかりいただけたでしょうか?

もし、このラインを超えて撮ってしまった映像を編集でつないでしまうと、この2人がどっちを向いて話をしているのか、見る人は混乱してしまいます。

対話だけではありません。

●映像1:室外
・画面の左から歩いてきた人が、画面の右端にあるドアを開けて入る

この場合「歩いてきた人」と「ドア」の間にイマジナリーラインが成立しています。
従って、この次につながるシーンでは、

●映像2:室内
・画面の左端にあるドアが開いて、画面の右に向かって人物が入ってくる

という映像になるのが自然です。映像1と2の方向が統一されているわけです。
これについての説明は、次回にしましょう。

次回は【6-7撮影編7 撮影の基本7】
映像の方向性についてのお話です。

2012-05-04

撮影の実践知識4 -自分で作る!PR映像制作ガイド-


【6-5撮影編5 撮影の基本5 カットの「のりしろ」】

撮影を行うときには、後の編集作業のために気をつけておくことがいくつかあります。
今回は、映像(カット)には「のりしろ」を付けましょうというお話です。

1カットというのは、カメラの録画ボタンを押して必要なものを撮り、録画ボタンを
もう一度押してカメラを止めるまでを指します。
このとき、撮影するものが、例えば「商品の使い方の実演」や「商品を工場で製造する場面」などの動きがあるときや、人物のお話(コメント)である場合に、とくに注意すべきことがあります。

それは、カットに「のりしろ」をつける、ということです。

2012-04-22

撮影の実践知識3-自分で作る!PR映像制作ガイド-

【6-4撮影編4 撮影の基本4 ズームイン】

1.ある風景の中に撮影対象が存在している。
2.次にその撮影対象がどんなものか詳しく見せる。

このような映像を作るためには、まず風景の中にある対象をロングショットで撮影し、
次にその対象をアップショットで撮ることになります。
ひとつのシュチェーションに2種類のショットが必要になるということです。

2012-04-15

撮影の実践知識2 -自分で作る!PR映像制作ガイド-


【6-3撮影編3 撮影の基本3 移動撮影】

さて、今回は手持ち+歩いて撮影する場合の注意点です。

私たちプロの世界では、カメラを手持ちで、しかも歩いて移動させて撮影するケースは、
報道系やドキュメンタリー番組の場合にほぼ限ると言っていいでしょう。
ドラマやスタジオ撮影のバラエティ番組における移動撮影は、原則的にカメラはレール
上の台車かクレーンに乗って移動させます。