2012-05-04

撮影の実践知識4 -自分で作る!PR映像制作ガイド-


【6-5撮影編5 撮影の基本5 カットの「のりしろ」】

撮影を行うときには、後の編集作業のために気をつけておくことがいくつかあります。
今回は、映像(カット)には「のりしろ」を付けましょうというお話です。

1カットというのは、カメラの録画ボタンを押して必要なものを撮り、録画ボタンを
もう一度押してカメラを止めるまでを指します。
このとき、撮影するものが、例えば「商品の使い方の実演」や「商品を工場で製造する場面」などの動きがあるときや、人物のお話(コメント)である場合に、とくに注意すべきことがあります。

それは、カットに「のりしろ」をつける、ということです。

録画ボタンを押したと同時に動作や話をはじめたり、また動作や話が終わった直後にすぐにカメラを止めてはいけません。ボタンを押した直後は以下のような状態です。

・録画ボタンを押したときのカメラの揺れ
・ボタンを押した後にカメラを保持しようとするときの揺れ
・動作を撮ろうとするカメラマンの体勢決め

これらが収束しないうちに、いきなり動作や話を始めてしまうと、大事な動きを撮っているのに画面が揺れてしまったり、撮影者が動作を指示する声が入ったりしてしまいます。
このような映像は、かなり見苦しく、素人まるだしのものに見えてしまい、編集のときに苦労することになってしまいます。

●撮影開始時の「のりしろ」の付け方
1)まず、撮影者がはっきりとこれから撮影することを周囲に告げる
⇒「じゃあ、撮りまーす!」
2)カメラの録画ボタンを押す
⇒特に言わなくて良いが、プロの世界では「ハイ!まわった!」等と言います。
3)5秒前からカウントダウンする
⇒「5、4、3、2、1」とハッキリ言う。この間にカメラはしっかり固定する。
4)出演者はカウントダウンの「0」になるタイミングで動作や話などをはじめる。
⇒「0」は口に出して言いません。

人間の動作だけでなく、機械の動きなどでも同じ要領でスイッチを入れたりして「のりしろ」の後に撮影されるようにします。

●撮影終了時の「のりしろ」の付け方
1)出演者は動作や話が終わったら、そのままの姿勢を保って動かない
2)撮影者は心の中で三つ数えてから「カット!」と声をかける。
3)最後にカメラの録画ボタンをもう一度押して、撮影を終える。

アマチュアの方でありがちなのが、必要な動作を終えたとたんにパッと「素」に戻ってしまう」ことがあります。自分が「演技をしている」という気恥ずかしさや緊張感から開放されて、すぐにデレっとしてしまうことがよくありますが、撮影者(ディレクター)は、終わったらしばらくそのまま動かないように、事前に指示をしておきましょう。

なぜ、このようなことが必要なのかというと、一連の動きが終わったときにはその映像の最後に一呼吸くらいの間を空けておかないと、見る人はその動作が終わったということを認識できません。動作の終了と同時にブチっと映像が切れてしまうと、何だか最後までちゃんと見れていないような印象を受けてしまうものなのです。
映像の最後は「動作が終わったあとに、一呼吸おいてからカット」というように、どんな撮影でも心がけましょう。

「カチンコ」について
アマチュアの方でも「カチンコ」というものの存在を知っている方は多いでしょう。
映画などの撮影で、カメラを回した直後に助監督がレンズの前に差し出すアレです。
あの「カチンコ」には、これから撮る映像が「シーン●●のカット番号○○」である、ということが主に書かれています。

つまり、撮影したどのカットにも最初にこれが映っているので、後でそのカットがどれなのかがすぐにわかる「メモ」の役割を果たしているのです。
とくに、同じシーンの同じカットを何回も撮り直す(テイクを重ねる)ときには、その映像が何テイク目かがごっちゃになってしまうと、編集のときに面倒です。
明らかに「NG」であるときは見ればすぐわかるのですが、ディレクター(監督)が微妙な違いにこだわっていたりすると「何テイク目がOKのカットなのか」ということが見分けにくくなります。

さて、社内でPR映像を作るときに「カチンコ」のようなものは必要でしょうか?
わざわざ本物のカチンコを買ったり借りたりする必要はありませんが、後の編集作業をやりやすくするためには、何らかのメモはあったほうが良いでしょう。
そのときには、大きめのスケッチブックなどに、黒マジックでデカデカとシーン名とカット番号を書いておきましょう。
「○○(商品名)使い方動作/カット1/テイク1」などという具合です。そしてカメラの録画ボタンを押して、「5、4、3・・・」とカウントダウンしているときに、レンズの前に差し出すのです。NGを出したら次は「/テイク2」になります。

次回は【6-6撮影編6 撮影の基本6】
編集のことを考えて撮影するお話の第2回「イマジナリーライン」について

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