2012-02-25

映像制作の「段取り」 -自分で作る!PR映像制作ガイド-


【5-1制作編1 映像制作の準備】

さて、台本も決めて予算も組んだ。次は撮影・・・に入る前にやらねばならぬことが
あります。撮影の「段取り」です。
いつ、どこで、どういう順番で撮影を行い、その撮影にはどの人やモノが必要で、
それらをいつどうやって撮影現場に持ち込むか・・・というような撮影に関する予定を
事前に決める作業です。


まず、制作の開始から終了(=作品の完成)までの全体を表にした、
「制作スケジュール表」を作成します。
制作スケジュール表の例


















これを見れば、制作開始から完成までの各プロセスに何日かかって、トータルで
いつ完成するのかがわかります。

次に撮影日のはじめから終了まで、1日の予定を表にした「撮影スケジュール表」
作ります。
ある日の撮影スケジュール表


















これらは台本と同様に非常に重要なもので、制作に関わるすべての人が一目で、
全体の予定がわかり、今現在どこまで進んでいて、次に何を行うのかがわかる
ものでなくてはなりません。

これを先に決めないでおくと、撮影の進行が行き当たりバッタリになり、効率よく
撮影できずに無駄な時間を浪費し、必要なものを撮り忘れたり、必要な時に必要な
人がいない、あるいは物がない!というトラブルの原因になってしまいます。

撮影の順序は、基本的には台本のアタマから順番に撮っていきます。
しかし、効率よく作業を進めるために多少の工夫をする必要があります。
例えば、台本上はこうなっていたとします。

●シーン1/撮影場所はA地点
●シーン2/撮影場所はB地点
●シーン3/撮影場所はA地点

ここでは、シーン1と3は同じ撮影場所で撮るシーンですので、実際の撮影現場では、
以下のような順番で撮影の作業を行います。

●撮影場所A地点でシーン1を撮る
●撮影場所A地点でシーン3を撮る
○撮影場所B地点へ移動する
●撮影場所B地点でシーン2を撮る

このように、撮影作業に伴う機材やスタッフの移動の手間ヒマを考えて最も効率よく
撮影を進められるように順番を考えていきます。

順番を決める要素としては、場所のほかに「撮影対象の状態」もあります。
例えば、商品が「美顔パック」で女性モデルが出演するとします。
台本上ではこうなっています。

●シーン1/手鏡に顔を映す女性モデル。肌荒れに悩む表情
●シーン2/美顔パックを使用する女性モデル
●シーン3/スベスベになった肌を鏡で確かめて笑顔になる女性モデル

この場合、パックを実際に使うにはいろいろと手間も時間もかかります。
そこでシーン1を撮り、お肌がキレイになったつもりでシーン3を撮り、その後で、時間の
かかるパック使用シーン2を撮ります。

え?「ウソついてないか?」いえいえ違います。
もし、その商品に効果がないのに「効果があります!」と表現したらそれはウソです。やってはいけないことです。
しかし、商品の特長や効果が「本物」であれば、それを説明するために、必ずしも実際の
状態を撮影しなくてはならない訳ではありません。
上記の例は商品の特長・使い方・期待される効果を映像上で演じて説明している
のです。
リアルな現実を示しているのではありません。
逆に、この種の商品でよくある「利用者の感想」などで、使ったこともない人が登場して
「よかったです~」なんて言うのはウソをついたことになりますので、そのあたりは十分に
理解してください。

あくまで、商品の特長や効果は、その商品そのものに備わっているものです。映像は
説明するためのツールでしかありません。
ただし、この理屈を悪用して顧客を騙すようなものがあるのも事実です。また、悪意が
なくても、ついつい誇大に表現するようなことがあるかもしれまれません。
注意して避けるように心がけましょう。

話を戻します。

このように撮影スケジュール表は、台本順ではなく、撮影する映像の順番を時間軸上
に並べることで作っていきます。
また、撮影する映像の横には、その映像に必要な出演者・スタッフ・道具・機材などの
項目を書いておきましょう。

これを見れば、撮影に必要なものを誰でもすべて知ることができ、早めに準備したり
待機したりと、作業を先へ先へと進めて行くことが出来ます。

新人AD時代だと、経験不足からこういう作業がちゃんとできなくて、
「だんどり悪ぃなぁ~っ」と他のスタッフの皆さまからよく怒られます。
いやぁ、なつかしい・・・

5-2制作編2 映像制作用語の解説】
スケジュール表を作るときに最低限必要な映像関係の用語を説明します。


0 件のコメント:

コメントを投稿