2012-02-11

予算書の作り方1 -自分で作る!PR映像制作ガイド-


【4-1予算編1 制作予算の基本】

新宿区の某繁華街のガールズバーの看板に
「20代女の子の知り合いがいますか?」
とかいう看板がありました。キャバ・風俗系では珍しいなぁと思ったのですが、
ここで問いかけた顧客に期待される回答は「いいえ」です。
すると「じゃあ、うちのお店で女の子たちとお知り合いになりましょうよ!」と
ストーリーが進行するわけです。


ビジネス映像でもよく使われる手法です。
「苦しいだけのダイエットをまだ続けますか?」
「増える一方の経費、削減をあきらめていませんか?」
「●●じゃありませんか?」→「いいえ」→「ならば当社の△△を!」という
流れ、つまりストーリーがあるというわけです。

さて、今回からは制作予算のお話です。
まずはビデオの制作には、いったいどんな費目があるのかからはじめましょう。

(1)制作人件費
制作スタッフの人件費です。制作スタッフとは、ビデオ制作の最初から完成まで
関わるスタッフのことで、狭義の「ビデオを実際に作る人」をいいます。
・プロデューサー費
・アシスタントプロデューサー費
・ディレクター費
・アシスタントディレクター費
プロデューサーはビデオ制作の総責任者です。制作スケジュールの作成と進行の
管理。制作予算の作成と予算実行の管理、スタッフの管理などを行います。
ディレクターは「監督」です。映像を作る責任者です。どんな内容(構成案や
台本)かを考え、撮りたい映像を考えて現場で作業するスタッフに指示を出し
ます。撮影の後は映像の編集作業も行います。

(2)撮影人件費
撮影のときに呼ばれる技術専門スタッフの人件費です。
・カメラマン費
・ビデオエンジニア費
・照明スタッフ費
・音声収録スタッフ費
カメラマンは文字通りカメラを使って撮影を行う人です。ビデオエンジニアと
いうのは映像を収録するVTRの操作を担当して、モニターを見ながら意図する
映像を撮るための様々な技術的調整を行います。規模の小さい番組やビデオ
制作の場合は、カメラマン一人がこの2役を兼ねます。
照明スタッフは最適な照明効果を生み出すよう、照明機材を用意し配置する
作業を行い、音声収録スタッフは現場で出演者の声や撮らなくてはならない
音声をクリアに収録するのが仕事です。
ほんとーに規模が小さい撮影になると、これらの仕事をカメラマンひとりが
すべてこなします。

(3)撮影機材費
・収録機材費(映像の「収録」機材を特にこういいます)
・照明機材費
・録音機材費
・特別機材費(特機といいます)
・車両費
撮影に使用する機材の費用です。カメラやVTRとその周辺機器、照明機材や
録音機材、その他カメラをダイナミックに動かすレールと台車やクレーン
などもこの機材費に含まれます。
また、これらを運搬する車両費も発生します。

(4)出演関係費
・モデル(タレント)出演料
・メイクアップアーティスト費
・スタイリスト費
映像に出演するモデルやナレーションを読むナレーターなどの出演料と、モデ
ルを使う場合に必要なメイクさんやスタイリストさんの人件費です。
低予算なビデオ制作で、若手のモデルさんを使ったりすると「メイクは自分で
やって」とか「衣装は私物を持ってきて」などとお願いすることがあります。
もちろん有名なタレントさんの場合は、こうは行きません。

(5)ロケ地使用料
・ロケ地使用料
・スタジオ使用料
撮影する場所を、どこかの施設を借りて行うときに払う使用料です。
撮影専用のスタジオを使う場合も同じです。スタジオの場合はたいてい時間
貸しなので、1時間あたり¥X,000×使用予定時間=で予算を組みます。

(6)衣装・小道具費
・衣装費(レンタルの場合:衣装レンタル費)
・小道具費(レンタルの場合:小道具レンタル費)
出演者が映像に登場するときに着る服装や小物の購入・レンタル費です。
また、撮影に使用する様々な道具を用意するための費目です。例えば商品を
ディスプレイするための化粧板や、バックに垂らすカーテンのような布とか
それらの物品を購入するための予算です。

(7)編集作業費
・編集費
撮った映像を、台本に合わせてカットして時系列順に配置してゆく作業が
編集です。映像要素だけを完成させる作業なので、必要なテロップや映像
効果(ワイプやディゾルブ、色の変換など)もここで行います。
通常、時間単位で計上します。

(8)仕上げ作業費
・音楽効果費
・MA費
編集を終えた完成状態の映像に、ナレーションを入れてBGMや効果音を
付けて、それぞれの音量を聞きやすいように調整する作業の費用です。
BGMの楽曲使用料が「音楽効果費」で、ナレーション撮りや音入れの
作業をMA(マルチ・オーディオ)費と呼びます。プロの世界ではMA
は専用の音響スタジオを使って行いますので、予算はそのスタジオ使用
時間で計上します。
この作業で作品は完成です。したがって「仕上げ作業費」となります。

(9)素材費
・素材レンタル費
・素材制作費
映像の中で使用する画像やイラストを用意するための費用です。レンタル
の画像素材を使用する場合は、そのレンタル料金を、新たに作る場合は
そのためにかかる費用(作画料など)を計上します。商品の特長を説明
するためのCGを作る場合は、この費目が相当します。

(10)制作雑費
制作にあたって発生する細々とした諸経費をまとめて計上します。通常
業務外で遠方まで移動する交通費や、ちょっとした文具などの買い物、
撮影が夜間になったときのスタッフの軽食などです。
細かいことですが、ロケ地を借りたり、社外の方に協力してもらった時の
謝礼などは、そのまま計上すると「交際費」扱いになるので、この雑費の
なかにまとめ込んでおくと経費処理的にも便利です。

いろいろと費目を挙げましたが、実際にはその映像作品の規模や用途に
よって、必要なものや不要なものがあります。
また、社外に外注することなく自分(=社内)で作ることを目的とする
わけですから、これらの多くは省くことになります。

次回は【4-2予算編4 制作予算の考え方】
自分で映像を作る場合に、最低限かかるのは何か。について説明します。



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