2012-01-13

原発計画の続行を求める敦賀市長のコメントを読んで

そういえば敦賀原発には一度行ったことがあったな。

連休明けの日経新聞に、原発所在市町村会協議会長である河瀬一治・敦賀市長の
コメントが載っていました。


河瀬市長は原発の建設続行を求める立場の人です。(以下、コメント部分引用)

「エネルギーを安定供給する観点から冷静かつ慎重な議論を求めたい。
 原発は危ないので今すぐ撤退し太陽光や風力などの代替エネルギーにという
 人がいるが、 現時点では説得力に欠ける。」
「原発は福島の事故の知見を生かし、リスクをしっかり管理すればエネルギーと
 環境問題の改善に寄与する。」

上記は原発続行派の基本的な考え方ですね。私の目に留まったのは、その後に
出てくるコメントです。原発のある自治体への批判について、

「交付金欲しさから誘致したという批判もある。ただ立地自治体は国策に協力し
 ながら電力を安定供給する実績を上げてきた。我々を批判するなら、こうした
 実績も考慮すべきだ」
といい、原発の周辺自治体が、立地自治体並みの安全協定を電力会社に求めている
ことについては、必要はないとした上で、その理由を述べています。
「敦賀市では原発に対する住民の理解が深い。(中略)一方で、住民の大部分が
 脱原発を主張する自治体が原発再稼動の了承権を含む安全協定を結んだ場合、
 たとえ首長本人が再稼動に賛成でも、住民の理解を得ることは不可能だろう」

ひじょ~に現実的なお話です。
複数の原発を抱え、長らく国家政策に協力してきた実績と自負がモノを言ってます。
このようなご意見の方に、福島第一原発事故の被害を以って、脱原発を説いても
決して通じることはないでしょう。
見返り目当てだと批判したところで、そのおかげで地域が潤っている!首長としての
行動は間違っていないし、市民の支持もあるんだ!ということです。

しかし、このような考え方は、あまりに「現実的」でありすぎ、また「実務的」にすぎる。
まるで中央政府から派遣された戦前の官僚のような考え方であって、民主主義政治の
選挙で選ばれる政治家の言うことではないでしょう。
もちろん敦賀市民の支持によって市長でいられるわけだから、そもそも敦賀の有権者の
政治姿勢が、このような中央依存、開発誘致、利益優先の、官僚的発想に言いなりの
ヘッポコであることは言うまでもありません。

確かに「来年から原発をやめる」とかいうのは物理的に不可能でしょう。

しかし、民主主義国における最高権力者である有権者・市民の、その選択によって
国のエネルギー政策上、原子力発電を廃止するというチョイスは、十分現実的です。

地熱発電、波力発電、メタンハイドレード開発による新・火力発電など、われら日本の
高度な技術力によって、原発に代わる有力なエネルギー源を普及させることは、
夢物語でも何でもありません。それらは新たな投資も雇用も生み出し、輸出産業とする
こともできるのです。日本の成長戦略に育てていくことができるのです。

だから、必要なのは日本の市民が、われらは民主主義国であり、国家の主権者で
あることを再び、腹の底まで、臍下丹田に落ちるまで、本当に本気で十分に認識して、
将来の選択をすることなのです。
そのために実行することは、ただひとつ。
政府官僚の作成した国の方針を追認する議会や政治家ではない、有権者の意思を
国のレベルにまで持っていってくれる、本物の「民選」議員を、生み育てて、代議政治の
場に送り出すことが、日本の未来のために行うべきことです。

私は、一番大事なことは「生み、育てる」ところだと思っています。そして議会に送る。

だから、「脱原発の国民投票」とかには反対なのです。
政策は国民投票で決めることではなく、議会で決めなくてはならないのです。
※政府や議会に超越する憲法改正を国民投票で決めるのは妥当だと思っているけど。

最後に念のため。
上記で敦賀市民の政治姿勢をヘッポコと言いましたが、願わくば敦賀のみなさん、
恨まないでください。
政治家を批判するときには、必ずソイツを選らんだ有権者も批判しなくては、民主
主義の道理に合わねえ、という私個人の考えによるものであります。

冬場の敦賀のお魚、おいしかったです。

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