むかし、こんなことがありました。
1985年8月に発生した日航ジャンボ機墜落事故。
その事故調査にあたった、運輸省(当時)の航空事故調査委員会が、情報公開法施行を前に、
調査に使った原資料をみんな破棄してしまった。
これが一部新聞などで報道されると、運輸省に対する批判がおこり、
また何かと疑惑とかが多いこの事故では、「やはり政府は何かを隠そうとしている。」
「本当の事故原因は別にあり、それがバレる前に証拠隠滅を図ったのだ。」
というような声も上がっていたのを覚えています。
そんなできごとを見ていて、私はぼんやりと考えていました。
たぶん、役所は何も隠してないだろうな。と。
破棄した理由は、所定の保存期限が切れたためでした。
それが、本当のことで、他に理由はないだろうと思ったのです。
でも、ここで何も政府や官僚を擁護しようとしているのではありません。
私がそう思ったのは、今まで国レベルから地方まで、いわゆるお役所の仕事を
数多くやってきて、何人もの官僚の方々と接した経験からでした。
はっきり書いちゃいますが、
お役人にとって、一番大事なことは 「何も考えず、所定の手順をこなすこと」 それだけです。
事故調査資料の保存期間が切れたら、それは破棄する。ただそう行動するだけです。
何かを隠そうなんて、考えないんです。
逆に、未曾有の大事故の資料は、規定にかかわらず残すべきだ。とも考えません。
あるいは、ここで捨てたら批判されるなぁ。とか、陰謀論者が騒ぐなぁ・・・とも考えない。
ただ、定められているので、そうする。そこに思考は入りません。
それが役所の行動規定であり、役人の行動原理です。経験上、断言してもいいです。
だから、こう思うのです。
福島第一原発の事故。なんで情報が不明瞭なのか、対策が善後策的なものばかりなのか、
避難している人の支援や補償が、なぜ遅れる、なぜ決まらない?
それは、定められていないから。だと、私は思っています。
行動の原理原則を失った人間は、迅速かつ適切に行動することはできません。
所定の何か、がないと動けない。そういう事態に陥っているのだろうと、私は思います。
危機管理マニュアル、なんてものがある。
何か起きたら、そのマニュアルにしたがって行動するよう定められている。
じゃあ、それを逸脱するような想定外の、マニュアル無効な事態には、どうする・・・?
何もない・・・そして、何もないと、動けない。
(念のため)
東京電力はいちおう私企業だけど、実態はほとんど役所です。
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